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文化庁京都移転問題_ 「地方創生」は当事者のやる気から!まさか国に「おんぶに抱っこ」では?

2015年12月5日
「馳浩文部科学相は4日の記者会見で、京都府が文化庁の移転候補地として提案している京都市内の小学校跡地を視察した際、地元の十分な対応がなかったとして「熱意が全く伝わってこなかった。がっかりした」と批判した。  馳氏は2日に京都駅近くの小学校跡地2カ所などを視察。敷地が鉄扉で閉ざされて入れなかったほか、移転後のイメージ図も示されず、地元経済界の関係者の同席もなかったとして不満を示した。 政府は東京一極集中是正に向け、地方に移転する国機関を来年3月末までに正式決定する予定。京都府は、文化庁や、独立行政法人の政府観光局、国立美術館などの移転を提案している。」(4日 共同)。
東京一極集中の問題点を解決し、地方創生の起爆剤にするという点で、文化庁、観光局などの施設・機能を京都に移転する案は良さそうに思える。交通とICTが発達した時代なので、政府の機関が東京以外に移転したとしても、東京分室の設置、ICTの活用等により、他の省庁、国会などとの報告・連絡・調整業務で問題が生じることはない。東京~京都間は鉄道で約2時間15分なので、必要に応じ日帰り出張で対応できる。この移転は、京都の活性化、発展に大きく貢献することだろう。
だからこそ、京都の今回の対応は不可解と言わざるを得ない。この改憲内容は例によって馳大臣のパフォーマンスではないかとの疑念も浮かぶが、状況からするとどうもそうではないようだ。文化庁などの「京都移転要請」は京都から出ているにも関わらず、今回の対応は大臣に対する敬意を欠いているばかりか、あまりにもお粗末でやる気を疑いたくなるものだ。この移転は、地元経済に大きく貢献するだろうから、京都経済界の代表者が直接大臣に説明するぐらいのことはやるのが当然のはずだ。のみならず、関西経済活性化の起爆剤になることも期待されるから、関西経済人が顔を見せてもおかしくはない。これに限らず、周辺自治体との協調による誘致活動は、雰囲気を盛り上げ、目的を達成することに貢献するはずだが、京都にはこんな考えはないものとみえる。地元にメリットある政策は、まずは地元からやる気を示し、ビジョンを描き、積極的、建設的に動いていかないと話にならない。この点で大いに参考になるのが、大阪における大阪都構想であり、橋下氏を中心とする「おおさか維新」の活動だろう。大阪副首都法案を国会に出し成立させようという発想もいい。地方創生は、これくらいのダイナミズムを持たないと、大きな成果には結びつかないだろう。
今回の対応は京都の個性の表れなのか? 京都は年間5千万人の観光客があるので、それに安住して何もしようとしないとか、京都の人はお高くとまっているとか言われたりもする。伝統的に左派リベラル勢力が強い京都では、「反政府」の傾向や、国へは金や権限を「要求」する傾向が強いイメージがあるとか、東京や大阪への対抗意識があるとか、いろいろなことが思い浮かぶ。もしかすれば「地方」扱いされるのが嫌なのか? 国に対して「京都は移転がなくても困らないのだが、是非にと言われれば…」という姿勢でもって、国に頭を下げさせて、予算や権限などで国から多くを引き出したいということかとの疑念も浮かぶ。まあ、そんなことはあるまいと思うが、それならそれでもっと別の対応があるはずだ。これは京都のためであることはもちろん、日本の経済の再生のためにもなることだから、この点も踏まえて、是非とも建設的に対応してもらいたいものだ。

京都と共に気になるのは石破地方創生相の対応だ。
「政府が検討する国の機関の地方移転で候補に挙がる文化庁の京都移転について、石破茂・地方創生相は4日の会見で「(文化財が周囲にある)現場に近い所で色々な判断ができる。さらに(移転が)国全体のためになる可能性は十分ある」と前向きな評価を示した。国の機関の地方移転は、石破氏が担当する地方創生政策の一環。石破氏は「外国の方々が日本を訪問する一番の動機は文化、伝統。この維持、補修の人材が減っている問題を一番知っている、というのが京都府による文化庁移転の提案趣旨だ」とも述べた。」(4日 朝日)。
このピンボケ具合と歯切れの悪さ、他人事のような物言いはなんとかならぬものか。「(移転が)国全体のためになる可能性は十分ある」はその一つ。国のためになることが未だに確認できていないのか? そうなるようにするのが石破さんの仕事では、と言いたくなる。「京文化、伝統の維持、補修」が移転の一番の目的であるかのごとき説明だが、これが重要なことであるのは論を待たないにしても、もっと言うべきことがあるだろう。文化庁を京都に置いて、日本文化をどう世界に発信するか、それをどう観光客に結びつけるかなど。役所仕事としての発想ではなく、地方創生の所轄大臣、国のデザイナーとしての発想を聞きたいのだが…。石破氏は現在でも次期首相候補としての期待度でトップを保っているらしいが、こんな調子では、首相はおろか、地方創生相としても疑問符が付くのではないか。京都府、市への指導力発揮とともに、自身の「地方創生」のレベルアップにも注力してもらいたいものだ。

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